はじめに

日本酒の個性を大きく左右する要素のひとつが「精米歩合(せいまいぶあい)」です。精米歩合とは、米をどれだけ削ったかを示す割合のこと。例えば精米歩合60%とは、外側を40%削り、残りの60%を使って造られたことを意味します。米を削る度合いによって、日本酒の香りや味わいは大きく変化します。本記事では、精米歩合と味わいの関係を詳しく解説し、日本酒選びの参考になる知識を提供します。


精米歩合とは何か

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  • 定義:玄米を削って白米にしたときの、残った割合を示す数値。
  • :精米歩合70% → 玄米の30%を削って70%を残した米。
  • 目的:米の外側に多く含まれるタンパク質や脂質を取り除き、雑味を減らすため。

米の外層にはミネラルやアミノ酸が多く含まれますが、これが発酵の際に雑味の原因となることがあります。そのため、精米を進めることでよりクリアで洗練された酒質を得られます。


精米歩合と分類

精米歩合は、日本酒の格付けである「特定名称酒」に大きく関わります。

  • 普通酒:規定なし(70~75%程度が多い)。
  • 本醸造酒:精米歩合70%以下。
  • 吟醸酒:精米歩合60%以下。
  • 大吟醸酒:精米歩合50%以下。
  • 純米吟醸酒/純米大吟醸酒:醸造アルコールを加えず、米と水のみで仕込んだ吟醸・大吟醸。

精米歩合の数字が小さいほど、高精白であることを意味し、手間やコストも増します。


精米歩合と味わいの特徴

精米歩合70%前後

  • 味わい:米の旨味やコクがしっかり感じられる。やや雑味を伴う場合もあるが、食事と合わせやすい。
  • 楽しみ方:常温や燗酒に向き、煮物や焼き魚との相性が良い。

精米歩合60%前後

  • 味わい:雑味が減り、より軽快で飲みやすい。吟醸香が出やすく、フルーティーさが増す。
  • 楽しみ方:冷酒で香りを楽しむのに最適。刺身や淡白な料理と好相性。

精米歩合50%以下

  • 味わい:透明感のある上品な香りと繊細な味わい。雑味が極めて少なく、フルーティーで高級感がある。
  • 楽しみ方:冷やしてそのまま楽しむのがおすすめ。祝いの席や贈答品にも適する。

精米とコストの関係

精米が進むほど米を多く削るため、使用できる米の量が減り、製造コストが上がります。そのため、大吟醸や純米大吟醸は高価になりやすいのです。また、高精白米は扱いが難しく、蔵元の技術力も求められます。


精米歩合と地域性

  • 新潟:淡麗辛口の酒が多く、精米歩合を下げて透明感を追求する蔵が多い。
  • 秋田・山形:吟醸造りが盛んで、香り高い酒が多い。
  • 広島:軟水を活かし、やわらかい酒質に仕上げる傾向がある。

地域によっても精米歩合の選び方や造りのスタイルに違いがあり、これが日本酒の多様性につながっています。


まとめ

精米歩合は、日本酒の味わいや香りを左右する大切な要素です。数値が高ければ旨味とコクが強く、低ければ繊細で華やかな香りが楽しめます。精米歩合の知識を知っておくことで、日本酒を選ぶ際に自分の好みに合った一本を見つけやすくなります。飲み比べの際には、精米歩合に注目して違いを感じ取ってみると、日本酒の奥深さをさらに楽しむことができるでしょう。

「何を誰と飲むか」
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Bacchus Notes(バッカス・ノート) 日本酒編

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